フリーマガジン 『Rino』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


愛妻の話には、いつ、誰と、などの主語述語がない。亭主なら当然知ってるよね的ニュアンスなのだ。

 「ねえ、ねえ、行って来たのよっ」。いきなり始まる会話。愛妻の話には、主語、述語がない。いつ、どこに、誰と、何しに行ったのかが、さっぱりわからないのだ(笑)。我々亭主にはそれが大問題である。つい、「いつ、誰と、どこに、何をしに?」などと質問すると、「あなたはちっともわかっちゃいないっ」とぶんむくれる事になる。何しろ、当然あなたもわかってるよね的ニュアンスである。大抵の亭主は、正直、わからないし、どうでもいいんですけど的顔をするから、夫婦喧嘩が勃発したりするもの。
そこで全国亭主関白協会では、この難問題を解決する法則を発見した。この絶対に成立しそうにない、「ちょっと、ちょっと、行って来たのよ」には、「マジーっ」と答える事が最善手なのだ。とにかく愛妻が突然話しかけてきたら、話の中身がわからなくても「マジー」とあいづちを打つ事が肝心である。そうすれば話はどんどん先に進む事になる。話の中身はひとつもわからないが、途中で、若い人が使う、「てか、」「てか、まじ」などを散りばめるのがミソ。話はひとりでにどんどん転がっていき、終盤へと差しかかるものだ。
もう、終わる頃だな、と思った時、「だよネ」で結ぶと最高である(笑)。これを、「まじ、てか、だよね」の三原則と呼び、たった三つの返事で、愛妻の話を1時間程度は聞く事ができる大ワザである。全亭協の5段以上は、習得しており、事なきを得ている。亭主諸君、妻が突然語りかけてくる話には、意見や、自分の考えなどを決して言ってはいけない。なぜなら、妻は、話したい、だけなのだから(笑)。




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